安藤忠雄さん、森の中の家 安野光雅館にてトーク会
安藤忠雄さん、和久傳の 森の中の家 安野光雅館 にてトーク会(レジオン・ドヌール勲章を受章)
5月3日、「森の中の家 安野光雅館」に安藤忠雄さんがお立ち寄りくださった。
絵に描いたような晴天となり、外庭にて、急遽トーク会が行われた。
このたび、フランス芸術文化勲章、レジオン・ドヌール勲章コマンドゥールを受章された。
「城崎は雨だった。丹後に来たら晴れた。丹後が雨だったらよかった。
こんな遠いところ、ほんと、誰も来ないでしょう。絶望的でしょ。」と最初から毒舌ジャブの嵐で聴衆をくぎ付けにする。
コロナ禍で、世界中、日本中大変。何が大事か。リーダーが大事。
子どもは親が可愛がりすぎるのはダメ。
梅田駅で子供が背中に12kg、両手に各1kg。これだけもたせて勉強させないといけないのかと。
「お母さん、子供をプロレスラーにするおつもりですか」と聞くと、「いや、違う。そうしないと一流大学にいけないから」と。
日本の子供は、勉強させて、記憶させている。そうではなくて、スマートフォンや、ゲームをする時間を半分にして、
こういう丹後の和久傳ノ森に来て過ごす、そういう時間を持つことが大事。
和久傳ノ森は、植物生態学者宮脇昭の指導を受け、その土地にあった樹木を植えて森を再生した。
メンテナンスしなくてもよい生き生きとした森ができた。今の子どもはメンテナンスしすぎでよくない。
「安藤さんは、大阪ですか」といわれる。「大阪に誇りをもって生きていますよ」
久美浜にも、誇りあるものがある。今の子供は、誇りはないけど成績はいいと。
「こういう時代をどう生きるのか。誇りが大事」と、語られた。
安藤先生のお話は展開が早くて、人をまともに褒めないでその逆のすれすれをうまく表現される。
これができるのは実は相手を大事に高く評価されているからであって、ここに安藤節の炸裂がある。さすがの安藤先生のトークだった。
安藤先生の本に『安藤忠雄仕事を作る』(日本経済新聞出版社)がある。
この本の中で、フランスの詩人ポール・クローデルが、滅びて欲しくないと願う民族は日本民族だといったというが、
「その日本は今存亡の危機を迎えている。東北地方にあれだけの犠牲者を出したいまこそ、
第三の奇跡をおこすべく、日本は真の意味で変わらなければならない。」
「まず、飼いならされた子どもたちに野生を取り戻させたい。」
「この国が再び生き残るには技術革新より、経済より、何より自立した個人という人格をもつ人材の育成が急務である。
真の人格を育てる教育にこそ劣化した人間と国家の再生がかかっている。」と安藤先生は結んでいる。
ありがとうございました。快哉。